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その七拾八 : 花巡り、礼文島・利尻島の思い出(2)
今回愛でた花たちの中で、一番人気だったのはカラフトハナシノブ(ハナシノブ科)だったようです。
ハナシノブは漢字で書くと「花忍」で、江戸時代から忍玉など園芸植物として利用されてきたシダのシノブに葉が似ていて、花が美しいことから、名付けられました。切れ込みが深い葉は若干シノブに似てはいますが、ハナシノブという響きの良さを重視したネーミングだと思います。
礼文島の花街道「桃岩遊歩道」にたくさんありますが、初日の5月31日には、強風とガスの中、まだほとんどが蕾でした。それが2日後の6月2日に再訪した時には開花が進み、満開に近い株もありました。この時期は、わずか2日間で開花状況に大きな変化が生じることを実感しました。
カラフトハナシノブが属するハナシノブ属は北半球を中心に約400種類もありますが、日本には2種2亜種1変種の5種類分布していま す。そのうち、カラフトハナシノブはロシアに分布中心があり、日本では礼文島だけに見られ る種類で、背が低く花が密生して咲くのが特徴です。桃岩遊歩道で強風に倒されそうになりながら、美しい青紫色の花を懸命に咲かせる姿には、本当に感動します。
本州には、ミヤマハナシノブが南アルプスの北岳と北アルプスの清水岳に分布し、北岳の大樺沢のお花畑で見る可憐な姿も素晴らしいものです。
各地のハナシノブ・ウォッチングを楽しみたいと思います。
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(2014.06) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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