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その六拾弐 : 森を楽しむ(盛夏編) その1
昆虫少年の夏はゼフィルス採集に没頭します。
ゼフィルスというのはシジミチョウ(蜆ぐらいの小さな蝶という意味)科に属するミドリシジミグループの愛称で、
成虫(特に♂)の翅の表面が金緑色・オレンジ色・銀白色などに耀く、本当に美しい蝶たちです。
ゼフィルスたちは基本的には早朝・夕方活動型で、日中は梢近くで休憩しています。そのため、これらの蝶を採集するために、 昆虫少年は5m程の長い捕虫網で木々の梢をたたき、飛び出た個体をつかまえます。
この方法で捕まえられるゼフィルスは稀で、
美しいアイノミドリシジミやエゾミドリシジミの雄が採れた時は、思わず大声を上げる程でした。
その後、種類によって活動時間や幼虫の食樹が異なることが判明し、成虫の採集方法が変わったり、卵を採集して育てるようになりました。特に卵から育てた蝶は傷ひとつなく美麗ですが、
一度も自由に空を飛ぶことなく標本にされた蝶は、あわれなものです。
確率はごく低くても、チョウたちと一対一で勝負する時の胸の高まりは、40年後も新鮮に覚えています。
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(2013.07) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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