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その六拾壱 : 森を楽しむ(初夏編) その2
5月〜6月は若葉が一斉に芽吹くため、それを餌とする昆虫たちの幼虫、とりわけガ類やハムシ類の幼虫が大発生します。
これらの幼虫は、ちょうど繁殖期を迎える夏鳥のヒナたちの餌になります。
自然の仕組みは、この昆虫の幼虫発生シーズンと野鳥のヒナ発育シーズンがピッタリ一致するようにできています。
わざわざ遠い沖縄や東南アジアで冬を越すのは、南方では餌となる昆虫やヘビなどの小動物が一年中活動しているからです。
空を飛ぶ小昆虫を空中で食べるヒタキ類(フライキャッチャー)やヘビ・カエルを食べるサシバは、本州では越冬はできません。
オオルリやキビタキたちはゴールデンウィーク頃に決まって本州に飛来します。早くもなく遅くもなく、ちょうど餌となる昆虫が出現する時期に合わせてやってきます。
鳥たちには、渡りのコースを間違えない能力とともに、渡りの時期を間違えない体内時計も持ちあわせているようです。
あの小さな体のいったいどこに、そのような能力が秘められているのでしょうか?
オオルリ・コルリ・キビタキと
いった美しい小鳥たちをじっくり
観察できると、私たちは一日中
幸せな気分にひたることができ
ます。
でも、鳥たちは、精一杯の力を
出し尽くしてやってきて、子育て
をしています。
彼らに負荷を与えることなく、
遠くからその姿を楽しみたいものです。
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(2013.05) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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