バックナンバー
■vol.01里山が荒れてるって本当?
■vol.02木を植えることは善…?
■vol.03生物多様性ってなんだろう?
■vol.04雑木林的思考のすすめ
■vol.05ナラ枯れ病について想う
■vol.06「マンサクのファイトプラズマ病」の動向
■vol.07森林の持つ働き(生態系サービス)について、ちょっと考えよう
■vol.08地球温暖化防止と森林の働き
■vol.09もうすぐクリスマス!
■vol.10自然界の落し物集め
■vol.11生物多様性条約第10回締結国
会議に思う
■vol.12楽しい春の森あるき・T
■vol.13楽しい春の森あるき・U
※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
こちら からどうぞ。

 その拾四 : 亜熱帯の森に遊ぶ

 樹木ウォッチングの中でのマイブームは「亜熱帯の森」です。
 その切れ端は、田原市の泉福寺や尾鷲市の九木神社で見ることができます。前者ではホルトノキやヤマモガシ、後者ではツゲモチやカンザブロウノキなどが見られます。

 亜熱帯性樹木の楽しみは、@耳慣れない名前(モンパノキ、ハナセンナ、ムッチャガラなど)、A摩訶不思議な種子(モダマ・モモタマナ・ソテツなど)、B板根や樹幹花という亜熱帯特有の性質(サキシマスオウノキ・オキナワウラジロガシ・ギランイヌビワなど)、Cマングローブ林(オヒルギ・マヤプシキ・サガリバナなど)、D木生シダや巨大シダ(ヒカゲヘゴ・ホソバリュウビンタイ・ヒリュウシダなど)

 何しろ、亜熱帯の森は不思議に満ち満ちた森です。外観は多彩な種種から構成されたモコモコした森で、中に入るとオオタニワタリを始めとした着生シダ、カシノキランなど着生ラン、サクラランなどツル植物などの空中植物が実に豊富です。
 林内の湿度が高く、一年中ムッとした熱気がこもっています。そこには、超美声のアカヒゲ、間抜け声のカラスバトやズアカアオバト、ハブ・ヒメハブ・ヤエヤマハブのハブ三兄弟、小型恐竜みたいなキノボリトカゲ、黒ずくめのサソリモドキ、森の忍蝶コノハチョウなど超多彩で芸達者な動物たちに満ち溢れています。

 一度足を踏み入れたら、もう魔法にかかって、二度と抜け出せない魅力を持った異次元ワールド。それが亜熱帯の森です。屋久島の低地林を北限として、奄美大島・徳之島・沖縄本島・石垣島・西表島まで、それぞれ異なった森が拡がります。

さあ、皆さんも、亜熱帯の森の不思議世界へ行ってみましょう

(2010.03)






北岡明彦さんを紹介します
 1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、 日本全国を飛び回る。
 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、 一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
ページを開いた本のイラスト  『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。





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