※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
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その四拾 : 今年の冬は野鳥が超少ない!!
野鳥観察が好きな人は、きっと皆さん気づいていることでしょう。
「今年の冬は冬鳥が本当に少ない」と・・・・。
クェッ・クェッ と鳴くツグミ、ポピョピョピョピョ とけたたましいシロハラ、ヒッ・ヒッ・ヒッ と自己主張するジョウビタキやルリビタキ、チッ・チッ
とつぶやくアオジといったシベリア方面から来る小鳥だけでなく、チャッ・チャッ と鳴くウグイスもトゥーイ・トゥーイ と優しいメジロも極端に数が少なく、とっても寂しい冬です。
なぜ、今冬はこんなに野鳥が少ないのでしょう? その原因としては、昨年の秋にはほとんど全ての樹木で実が大豊作だったことから、わざわざ南の地域や里まで降りてこなくても、北国の山の中で餌が十分とれたことが考えられます。栄養たっぷりのブナ、甘酸っぱいガマズミ類やカマツカをはじめ、シデ類・クルミ類・カエデ類など、山一杯に木の実がなりました。一昨年あれほど騒がれ里で多数殺されたツキノワグマも、ブナ類・ナラ類などの実が豊作だったことから、ほとんど話題にのぼりませんでした。
しかし、年末から全国的に大雪が降り、特に地上に降りて餌をとるアトリやホオジロ類・イカル・シメなどは困っているはずです。30cmも雪が積もると、もう餌はとれません。ひょっとしたら、これから急激に冬鳥が増えるかも知れません。
もし、それでも増えなかったら・・・・・。野鳥の数そのものが少なかったのかも知れません。地球温暖化がすべての自然にどのような影響を与えるか、素早く変化に対応する動物たち、ゆっくりじっくり対応していく植物たち、今後の変化が見逃せません。
これから、4月までの間、冬鳥の動向に注目してみましょう。
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(2012.02) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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