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その参拾弐 : 人工林問題について想う ―その4―
人材を確保するためには、同時に事業量の確保が必要です。
間伐などの山仕事を、国有林や公有林だけで確保することは不可能ですから、私有林での事業が主力となります。(森林のうち80%以上は私有林です。)
今の法体系の中では「あなたの山は間伐手遅れの状態ですから、勝手に切ります!」という訳にはいきません。例え、全額税金で実施するとしても、所有者の同意は絶対に必要です。しかし、各々の山の境界が明確でないだけでなく、所有者すら分からない山も在ります。
地価が高い都市部では考えられないことですが、自分の山がどこにあるか知らない人、一回も山へ行ったことがない人もたくさんあります。
そうした、森林所有者の意識改革も大きなポイントです。全く興味のない人が多く、容易ではありません。
私が担当している「とよた森林学校」では「山主森林経営講座」と銘うって、山作りの楽しさを通じて意識改革を進めていますが、年間10名くらいが精一杯です。
これも長い時間が必要です。
さまざまな課題を内蔵している人工林問題ですが、きっと『人の一生は80年、森の一生は800年』という森の時間軸を考えれば、じっくり腰を落ち着けて物事を進めれば良いのでしょう。
早急に結果を求めるのではなく、50年間の間違った施策を正すには、やはり50年間は必要なのでしょう。
その位なら、日本の自然・風土は待っていてくれると思います。
ひょっとしたら、災害の方は待ってくれないかもしれませんが・・・。
今回のシリーズは、非常に真面目な物語でした。
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(2011.07) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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