※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
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その弐拾八 : 身近な自然を大切にしよう ―その3―
もっともっと身近な自然も大切です。
たとえば、近くの神社の森《鎮守の森》。街中の、木が数本しかない小さな神社はちょっと別にして、こんもりと繁った神社の森があったら、一度じっくり調べてみましょう。
神社の森は神様が宿る森ですから、昔から完全に丸裸にされた経験は少ないはずです。100年を越える大木とその下に生き残った植物たちを見ることができるでしょう。
もし、人間の手が入らなかったと仮定したならば、その場所の気候や土壌に合った植物たちが生えてくるはずです。それを潜在自然植生と呼びます。中部地方で標高が300m以下の所なら、おおむね暖帯性のシイ類、カシ類やタブなどの常緑広葉樹、800m以上なら暖温帯性のブナやミズナラなどの落葉広葉樹の森が成立し、その中間ではモミやツガ、ケヤキやクリなどが混ざった森が成立すると考えられています。
神社によっては成長が速いクスノキやクロガネモチが主に植えてあったり、ケヤキやエノキ・ムクノキなどの落葉樹が多い所もありますが、じっくり観察すると、思わぬ昔からの生き残り植物を見つけて、びっくりすることもあります。
お賽銭を少しはずめば、きっと御利益もたくさんあることでしょう。大願成就を祈りながら、地域の潜在自然植生を調べるツアー。
皆さんも挑戦してみてはいかがでしょう。
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(2011.03) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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