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その四拾九 : マンガにちょっと登場する動植物(4) セミの抜け殻
今回は、再び「伊賀の影丸」が登場です。
お題は「セミの抜け殻」。今回の忍法は『空蝉の術』です。
漢字で“空蝉”と書いて「うつせみ」と読み、その意味はセミの抜け殻です。もともとは現身(うつしみ)で「この世の人」という意味だったものが、平安時代以後に空蝉と当て字をしたところから、意味もセミの抜け殻になったと言われています。
さて、忍法『空蝉の術』という名前から、皆さんはどんな術を想像しますか?
登場するのは私が大好きな“由比正雪の巻”で、使う忍者は正雪(実は忍者という設定)一味を追う伊賀六忍の一人、岩石入道。まったく年齢不詳の忍者です。もっとも主人公の影丸自体がいつまでたっても少年忍者のままで、これまた不思議ですが・・・・。
この岩石入道が敵の忍者に追いつめられた時に使うのが、空蝉の術です。立ったまま敵の攻撃を受けるのは人形(抜け殻)で、実体は地中に隠れていて、近寄ってきた相手を土の中から刀で刺して倒すという術です。
この術は、さまざまな忍者漫画で多くの忍者が使い、現在連載中の人気漫画の『ナルト』にもよく出てくる基本的な忍術のひとつである「変わり身の術」の応用ですが、逃げるだけでなく攻撃力も備えているところが優れています。
何といっても、そのネーミングの良さが、私のお気に入りの術です。著者の横山光輝氏も、セミの幼虫が土の中からはい出て、木の幹に止まって成虫になる姿から、この術の名前を連想したのでしょう。
・・・カットをクリックすると “忍法空蝉” 登場のシーンが現れます ・・・
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(2012.08) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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