※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
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その四拾弐 : 地球温暖化と昆虫
移動能力が高く、世代交代も早い昆虫は、地球温暖化に対して最も素速く対応しています。
中でも、チョウ類の顔触れの変化は著しく、最近30年位の間で、最初は少しずつ、ここ10年位は急激に変わっています。
最初に北上を始めたのはモンキアゲハ、続いてツマグロヒョウモンとクロコノマチョウがどんどん勢力を拡大していきました。両種とも、私が大学生の頃は、愛知県内で採集されると、その記録が昆虫愛好家専門誌に載ったほどでした。それが今では、ツマグロヒョウモンは幼虫がビオラやパンジーを食べることから、夏以降街中で最も普通のチョウのひとつに、クロコノマチョウは日陰の林中でごく普通に見られるようになりました。
ツマグロヒョウモン |
特にツマグロヒョウモンは、幼虫(トゲがたくさんあるイモ虫)が庭や学校のパンジーを丸坊主にすることから嫌われ者で、見つかるとすぐ踏みつぶされてしまいます。
しかし、金ラメが入った蛹も、豹紋が美しい成虫も見ごたえがありますから、ぜひ飼育してみて下さい。昆虫のメタモルフォーゼ(変態)の不思議を体感できます。 |
さらにここ数年の変化は著しく、スジグロカバマダラ・ムラサキツバメ・サツマシジミ・ナガサキアゲハといった、一昔前は九州南部や沖縄しか生息しないはずのチョウが愛知県でも見られるようになりました。
今後もチョウ相の変化に注目!
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(2012.02) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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