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その五拾八 : 森を楽しむ(春編) その3
早春の森を彩る樹木の代表格がミツバツツジの仲間です。日本全国には20種近くものミツバツツジが分布し、我が国はミツバツツジ類の宝庫となっています。
特徴は名前の通り三枚一組となった葉と10本のオシベです。多くの種類は3月下旬〜5月上旬にかけて、里山からブナ林へ咲き上がっていきます。
愛知県には、ほぼ全域にコバノミツバツツジが見られ、アカマツ林や若いコナラ−アベマキ林の林縁や林床を飾ります。
渓流沿いや山地の岩石地には、かわってミツバツツジ(オシベが5本なのが特徴)が多く生育します。
また、所々に日本海要素植物のダイセンミツバツツジと温帯性のトウゴクミツバツツジが点在するほか、渥美半島先端近くでは
トサノミツバツツジもわずかに見られます。
5種類のミツバツツジ類が生育する場所は少しずつ異なりますが、重複する場合もあり、同じ場所で2〜3種類混生することもあります。
また、新城市の蛇紋岩地帯だけに生育するシブカワツツジも同じグループですが、花の時期は5月下旬と遅く、葉が展開した後に咲きます。 本種は西日本に多いオンツツジが、アルカリ性が強い蛇紋岩地帯で変化した種類だと思われます。
この仲間は互いに大変よく似ているだけでなく、花と葉が別々の時期にしか観察できないことから、分類が難しいグループです。 花ではオシベの本数とメシベの毛の有無、葉では葉柄や葉裏の色や毛の有無、生育場所などが分類の基本となります。
難しいだけに調べがいがありますので、この春はツツジ調べにチャレンジしてみましょう。
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(2013.03) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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