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その七拾参 : 冬は羊歯を観察しよう(2)
私たちとシダ類とのつきあいは、古くて深いものがあります。
最も古いつきあいは、石炭です。
新生代の針葉樹が石炭化した日本は別として、ヨーロッパ産を始め多くの石炭が、古生代石炭期の木生のシダ類の遺体が変化したものです。
昔、地学で習ったロボク・リンボク・フウインボクと呼ばれる直径80cm以上、高さ20m以上に達する巨大なシダたちの化石なのです。
これらのシダの直系の子孫が、現在あるトクサ・ヒカゲノカズラ・スギナたちです。3億年の時間経過と気象変動などにより、こんなに小さくなってしまったものの、今も私たちの近くで生き続けているなんて!
本当にすごいです。
他にも、ゼンマイ・ワラビ・ツクシ・クサソテツ・オオタニワタリなどは食用になりますし、正月の飾り餅の下にはウラジロ(団地サイズではコシダで代用)を使います。
イワヒバやマツバランは江戸時代からの園芸植物として有名で、大名や豪商など大金持ちが奇型品や変型品を競って集めたことがありました。今でも、マニア間で高値で売買されています。
近年は、温室の普及とともにアジアンダムやオオタニワタリなどの熱帯性シダの栽培も盛んになってきました。
花が咲かず地味なため、植物好きの人からも無視されがちの羊歯ですが、花がほとんど見られない冬こそ、身近なのに縁遠い彼らに注目して下さい。
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(2014.02) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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