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その六拾八 : 落ち葉ひろいの楽しみ(1)
晩秋の楽しみのひとつに紅葉狩りがあります。
今でこそ、紅葉の代表はイロハモミジの赤色ですが、もともと「こうよう」は黄葉と書き、紅葉になったのは平安時代以後といわれています。
しかし、平安時代にもコナラの黄葉を愛でた和歌が知られています。
坂上是則(古今和歌集)
佐保山の ははその色は 薄けれど
秋は深くも なりにけるかも
【歌意】(黄葉の名所である)奈良の佐保山にあるコナラの黄葉は
淡い色ではあるけれども、秋は確実に深まっているのだなあ・・・。
里山のコナラやアベマキの黄葉は、ほんの数日だけ美しい黄色に耀いた後、
茶褐色に変わります。特にモンゴリナラは最もきれいな黄色になります。タカノツメも美しく黄葉し、身近な森で赤く色づくのはサクラ類やウルシ類くらいです。
サクラ類やウルシ類は最も早く色づき落葉してしまうため、最盛期には里山は見事に黄葉します。しかし、その色は同じ黄色でも樹種により少しずつ異なり、見事なグラデーションとなります。
平安時代以後に、イロハカエデを主とした赤く色づく樹木が神社、仏閣や行楽地などに多く植えられるようになり、徐々に「こうよう」は黄葉から紅葉に変わっていったのです。
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(2013.11) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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