※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
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その六拾七 : 海を渡る蝶
秋になると急に増えるチョウが何種類かいます。
代表的なチョウがウラナミシジミ・イチモンジセセリ・アサギマダラの3種類です。
ウラナミシジミは大豆やソラマメの若い実を食べながら、九州から少しずつ北上していきます。
イチモンジセセリは稲の葉を食べながら北上し、晩夏になると大群となって南へ移動します。私も8月末に南アルプスの北岳山頂付近の稜線を次々に飛び越えていくイチモンジセセリの大群に出会ったことがあります。
大型で美しいアサギマダラは、秋に急増するのが最もわかりやすい種類です。夏は涼しい高原地帯でイケマを食べて成虫となった個体が、気温が下がるに従って少しずつ里に降り始めます。
愛知県で里山に降りてくるのが、例年9月末から10月中旬頃で、ちょうどヒヨドリバナ・フジバカマ・セイタカアワダチソウなど秋の花が満開となって成虫の餌となる花の蜜がたっぷりある季節です。
そして、少しずつ花が減り寒さも厳しくなっていく10月下旬から、南方へ移動を始めます。ちょうど伊良湖岬をタカの仲間、サシバが渡っていく時期と同じくして、風にフワフワ流されるように志摩半島へ飛び去ります。サシバのように群れを作ることはなく、1匹ずつパラパラと渡ります。
日本各地で羽根にマークを書いたアサギマダラが放蝶されており、移動状況が調べられています。その結果、和歌山県から約800kmも離れた
喜界島まで、わずか4日間で飛んだ事例も知られています。
今、目の前にいるアサギマダラは、これからどこまで飛んでいくのでしょう?
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(2013.10) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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