バックナンバー
■vol.01里山が荒れてるって本当?
■vol.02木を植えることは善…?
■vol.03生物多様性ってなんだろう?
■vol.04雑木林的思考のすすめ
■vol.05ナラ枯れ病について想う
■vol.06「マンサクのファイトプラズマ病」の動向
■vol.07森林の持つ働き(生態系サービス)について、ちょっと考えよう
■vol.08地球温暖化防止と森林の働き
■vol.09もうすぐクリスマス!
■vol.10自然界の落し物集め
■vol.11生物多様性条約第10回締結国
会議に思う
■vol.12楽しい春の森あるき・T
■vol.13楽しい春の森あるき・U
■vol.14亜熱帯の森に遊ぶ
■vol.15「幸せの青い鳥」オオルリ
■vol.16マイ・フェイバリトゥ
・スィング
■vol.17無器用な水生昆虫は地球史
の生き証人・ヒメタイコウチ
■vol.18南の森は不思議の森・その1
■vol.19南の森は不思議の森・その2
■vol.20南の森は不思議の森・その3
■vol.21南の森は不思議の森・その4
■vol.22南の森は不思議の森・その5
■vol.23北の島は夢物語のような島
・その1
■vol.24北の島は夢物語のような島
・その2
■vol.25北の島は夢物語のような島
・その3
■vol.26身近な自然を大切にしよう
・その1
■vol.27身近な自然を大切にしよう
・その2
■vol.28身近な自然を大切にしよう
・その3
■vol.29人工林問題について想う
・その1
■vol.30人工林問題について想う
・その2
■vol.31人工林問題について想う
・その3
■vol.32人工林問題について想う
・その4
■vol.33植物の分布の不思議(1)
ヒトツバタゴ
■vol.34植物の分布の不思議(2)
モウセンゴケ
■vol.35植物の分布の不思議(3)
ヤワタソウ
■vol.36植物の分布の不思議(4)
アキチョウジ
■vol.37森の贈り物 縁起木(1)
■vol.38森の贈り物 縁起木(2)
■vol.39森の贈り物 縁起木(3)
■vol.40今年の冬は野鳥が超少ない!
■vol.41今年の冬も変だぞ!
■vol.42地球温暖化と昆虫
■vol.43地球温暖化と植物
■vol.44今年の春は・・・・(1)
■vol.45今年の春は・・・・(2)
■vol.46マンガにちょっと登場する
動植物(1)ナナフシ
■vol.47マンガにちょっと登場する
動植物(2)シデムシ
■vol.48マンガにちょっと登場する
動植物(3)甲州野梅シデムシ
■vol.49マンガにちょっと登場する
動植物(4)セミの抜け殻
■vol.50マンガにちょっと登場する
動植物(5)ムササビ
■vol.51森を楽しむ(秋編)その1
■vol.52森を楽しむ(秋編)その2
■vol.53森を楽しむ(冬編)その1
■vol.54森を楽しむ(冬編)その2
■vol.55森を楽しむ(冬編)その3
■vol.56森を楽しむ(春編)その1
■vol.57森を楽しむ(春編)その2
■vol.58森を楽しむ(春編)その3
■vol.59森を楽しむ(春編)その4
■vol.60森を楽しむ(初夏編)その1
■vol.61森を楽しむ(初夏編)その2
■vol.62森を楽しむ(盛夏編)その1
■vol.63森を楽しむ(盛夏編)その2
■vol.64森を楽しむ(盛夏編)その3
■vol.65秋の七草(その1)ナデシコ
■vol.66秋の七草(その2)キキョウ
■vol.67海を渡る蝶
■vol.68落ち葉ひろいの楽しみ(1)
■vol.69落ち葉ひろいの楽しみ(2)
■vol.70落ち葉ひろいの楽しみ(3)
■vol.71正月は富士山を見よう
■vol.72冬は羊歯を観察しよう(1)
■vol.73冬は羊歯を観察しよう(2)
■vol.74冬は羊歯を観察しよう(3)
■vol.75満60才のひとりごと(1)
■vol.76満60才のひとりごと(2)
■vol.77花巡り、礼文島・利尻島の
思い出(1)
■vol.78花巡り、礼文島・利尻島の
思い出(2)
■vol.79花巡り、礼文島・利尻島の
思い出(3)
■vol.80花巡り、礼文島・利尻島の
思い出(4)
■vol.81昆虫の大発生を考えよう(1)
■vol.82昆虫の大発生を考えよう(2)
■vol.83昆虫の大発生を考えよう(3)
■vol.84野菊の楽しみ(1)
■vol.85野菊の楽しみ(2)
■vol.86正月にはオシドリを愛でよう
■vol.87この本を読もう(1)
■vol.88この本を読もう(2)
■vol.89この本を読もう(3)
■vol.90この本を読もう(4)
■vol.91この本を読もう(5)
■vol.92この本を読もう(6)
■vol.93この本を読もう(7)
■vol.94植物を育ててみよう(1)
■vol.95植物を育ててみよう(2)
■vol.96植物を育ててみよう(3)
※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
こちら からどうぞ。


 その九拾七 : 私が大好きな花(その1)

 私が主催する自然観察会のセミ常連さんから、しばしば次のような質問を受けます。
 「北岡さんの一番好きな花って、いったい何種類あるの?」「本当に一番好きな花はどれ?」

 言われてみると、確かに観察会の説明の中で、「私が一番好きな花」とか「一番良い香りの花」「一番手触りの良い葉」など、一番がよく登場します。
 どうやら私の口癖のようですが、その意味は「特定の条件の中での一番」というくらいで、厳密な一番ではありません。「今日見た花の中で一番」とか「この場所にある草の中で一番」とか「樹の花の中で一番」とかいう軽いけど思いのある意味です。

 ですから、厳密な意味で私の一番好きな花は決められず、大好きな花たちがいっぱいあります。
 そのひとつはリンドウ科のアケボノソウです。
 五角形の放射状に広がる整った姿の花びら。色は淡いクリーム色で、緑色とえんじ色の小斑点を点在するセンスの良さは最高です。
 花びらの根元近くに2個ずつある緑色の小斑は蜜腺で、少し光って見えるのは蜜が出ている証拠です。以前、段戸裏谷で、渡り蝶のアサギマダラがストローをこの蜜腺につけているのを観察して、納得したことがあります。
 本種は2年草で、花が咲くと株自体は枯死してしまうため、園芸植物にならないのが残念です。
 やはり、野に咲けアケボノソウなのでしょう。

 このアケボノソウより、さらに好きなのがシノノメソウです。花はそっくりですが、最大の違いは花の香りです。アケボノソウが無臭なのに対してシノノメソウの花は、えも言われぬほど良い匂いがします。高貴な甘い香りとしか言いようがない良い香りがします。今まで私が嗅いだ花の中では一番良い香りです。
 曙と同意である東雲(しののめ)というネーミングもまた心に響きます。
 名前って大事ですね。

(2016.05)






北岡明彦さんを紹介します
 1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、 日本全国を飛び回る。
 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、 一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
ページを開いた本のイラスト  『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。





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