北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、日本全国を飛び回る。
名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。その人柄にもひかれて「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」
「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。
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■ラブリーアースJapan設立当初から、森林・自然にとどまらず、ものの見方、考え方など貴重なアドバイスをいただいています。
■このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。
どんなことでも、お待ちしています。こちらからどうぞ。
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その八 : 地球温暖化防止と森林の働き
前回書いたように、国民が森林に期待する一番の働きは、「地球温暖化防止」機能です。これには、ちょっと過剰なマスコミによるPR効果が、
非常に大きく影響しているように思われます。
では、本当に森林には、地球温暖化防止に関する強力な働きがあるのでしょうか。確かに、植物は主要な温暖化ガスである二酸化炭素を吸収して炭水化物を生成し、
それを元に成長(貯蔵)することから、大気中の二酸化炭素を減らす働きを持っています。
6CO2+6H2O → C6H12O6+6O2
しかし、反面、生きている以上、植物も呼吸し空気中に二酸化炭素を排出します。ですから、植物が持つ地球温暖化防止機能は、「光合成量−呼吸消費量=成長量」
の分だけということになります。
また、植物の寿命は最短で1年、最長で普通は400〜500年程度です。枯れた植物は徐々に分解していき、その過程で二酸化炭素を空中に放出します。
つまり、長い眼で見れば、植物が持つ地球温暖化防止機能は、それ程強力なものではないと思われます。裸地が森林化すれば、その分は空中の二酸化炭素を
固定したことになりますが、それ以後はそれ程効果はありません。
私たちは、植林や森林整備の推進を免罪符にして自己満足するのではなく、やはり、エネルギー消費量を絶対的に減らすこと以外に地球温暖化防止への道はないことを
胆に命じるべきでしょう。
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(2009.10) |
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