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その七拾四 : 冬は羊歯を観察しよう (3)
シダ観察の楽しさは「造形的な美しさ」の追求です。
花は咲かず、実も着けないため華やかさはありませんが、何億年も昔から生き残ってきた植物たちの造形的な美しさは格別なものがあります。
私をシダの美に引き込んだのは、40年前に尾鷲で見たリュウビンタイとアミシダです。
2mを越えるリュウビンタイの格好良さと豪快さ、熱帯的で怪しい雰囲気を持つアミシダの妖艶さは、まさに晴天の霹靂でした。
それ以後、花の季節が終る12月から2月の間が、私のシダ観察時期となりました。
本州では尾鷲周辺が日本有数のシダの名産地です。その他、屋久島のシダは日本一の種類数を誇りますし、南方の島々に生えるシダも超魅力的です。奄美大島で10mを越えるヒカゲヘゴの群落を下から眺めた時の衝撃と、徳之島で見たコモチナナバケシダの珍奇な姿は、映画ジェラシックパークの世界に入り込んだような気がしました。
身近に生育するシダ類ほど分類が難しいという大きな欠点こそありますが、ぜひ一度シダたちに目を向けて下さい。
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(2014.02) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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