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その弐拾弐 : 南の森は不思議の森 ―その5―
南の島の空の王者 カンムリワシ
奄美大島より南の島を訪れると、すべての風景や動植物が新鮮に(時に奇異に)感じます。住んでいる方々もその風習や食物も大きく異なり、まさに独立国琉球王朝です。
中でも、不思議な空の王者がカンムリワシです。翼を広げても1.3m程と小振りなワシ(オオワシは2.4mに達する)ですが、その風貌は立派な鷲です。しかし、このワシは他のワシ達とは全く性格が異なり、のんびりしているというか、泰然自若としているというか、人を人とも思っていないという感じです。
07年3月に西表島を訪問した時には、個体数が非常に多く、見渡せる範囲にある電柱のどれか1本にはカンムリワシが止まっている程でした。
その他、越冬中のサシバも非常に多く、チョウゲンボウやハイタカを含めて、冬の南の島はタカ類の宝庫となります。
この電柱のてっぺんに佇んでいるカンムリワシたちは、人間をただの物と思っているようです。初めて見た時は、本州のタカ類観察と同様、遠くからプロミナで見て感激していましたが、少しずつ近づいていき、とうとう電柱の真下まで来てカメラをかまえても飛びたちません。それどころか、こちらを見ようともしません。本州のタカ達が私たちを遠くで見つけるとすぐ逃げ去るのはとても寂しい気がしますが、こんなに無視されるのも、ちょっとムカッときます。
それで、小声で「オイ、こっち向け!」と言ってみたら・・・・・。 やはり無視されました。
これが西表島風なのでしょう。
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(2010.10) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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