バックナンバー
■vol.01里山が荒れてるって本当?
■vol.02木を植えることは善…?
■vol.03生物多様性ってなんだろう?
■vol.04雑木林的思考のすすめ
■vol.05ナラ枯れ病について想う
■vol.06「マンサクのファイトプラズマ病」の動向
■vol.07森林の持つ働き(生態系サービス)について、ちょっと考えよう
■vol.08地球温暖化防止と森林の働き
■vol.09もうすぐクリスマス!
■vol.10自然界の落し物集め
■vol.11生物多様性条約第10回締結国
会議に思う
■vol.12楽しい春の森あるき・T
■vol.13楽しい春の森あるき・U
■vol.14亜熱帯の森に遊ぶ
■vol.15「幸せの青い鳥」オオルリ
■vol.16マイ・フェイバリトゥ
・スィング
■vol.17無器用な水生昆虫は地球史
の生き証人・ヒメタイコウチ
■vol.18南の森は不思議の森・その1
■vol.19南の森は不思議の森・その2
■vol.20南の森は不思議の森・その3
■vol.21南の森は不思議の森・その4
■vol.22南の森は不思議の森・その5
※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
こちら からどうぞ。

 その弐拾参 : 北の島は夢物語のような島 ―その1―

 南の島々が不思議ワールドなら、北の島々は魅力一杯ワールドです。その代表は何といっても、利尻島と礼文島。

 利尻島は標高1.721mの利尻山が中央にそびえる山岳島です。平地は海岸沿いに溶岩台地がわずかにあるだけで、すぐエゾマツとトドマツの見事な針葉樹林帯に入ります。 標高300mくらいからハイマツとダケカンバの林に変わり、高山植物の宝庫となります。
 また、点在する湿地の植物も見逃がせません。ホロムイイチゴ・エゾノゴゼンタチバナ・ミツバオウレンなどの北方寒地系の植物が、海岸からわずか数10mの場所に ある湿地で見ることができます。

 私が最初に利尻島を訪問したのは、平成14年6月で、礼文島訪問の帰路に半日だけ滞在しました。その時訪れたのが、わずか444mのポン山。静かな姫沼に近い、 ちょっとした丘です。
 そこで見たのがイワギキョウでした。私の感覚からすると、イワギキョウは、シコタンソウ・コマクサ・タカネスミレとともに岩原草原や高山岩礫地にのみ生育する 最も高山植物らしい高山植物のイメージです。イワオウギやミヤマオダマキのように亜高山帯の河原や崩壊地に下がって生育することはありません。





 そんな孤高の高山植物が、ちょっとした丘に生き残っているという夢物語のような島、それが北の島の魅力です。

(2010.12)






北岡明彦さんを紹介します
 1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、 日本全国を飛び回る。
 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、 一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
ページを開いた本のイラスト  『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。






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