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その五拾参 : 森を楽しむ(冬編) その1
冬になると寒さのせいで、だんだん出不精になります。
でも、冬だからこそ発見できる森林観察もいろいろありますので、紹介していきましょう。
第1回は「冬にだけ活動するガ」のお話です。
一年のうち最も寒くて変温動物にとっては不利な時期に、わざわざ成虫になる、ガの仲間がいます。フユシャクやフユナミシャクの仲間が、代表的な種類です。
厳寒期にはマイナス10度以上になる豊田市稲武町の面の木峠ブナ原生林(標高約1100m)でも、12月中旬に2種類のガを見つけたことがあります。
昼間にスズタケ上を飛ぶフタスジフユシャクの♂と、ブナ樹幹にしがみついていたナミスジフユナミシャクの♀でした。
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フタスジフユシャク♂ |
ナミスジフユナミシャク♀ |
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厳冬期に成虫が活動するガ類は、全部一見すると弱々しい種類ばかりで、防寒対策はやや長めの体毛が密生する程度です。しかも、♀はほとんどの種類で羽根が退化して飛ぶことができません。
そのため、葉裏や枝にじっとして、腹端から♂を呼び寄せるフェロモンを出して、♂の飛来を待ちます。
里山に住む種類もありますので、冬の里山で、ガ捜しにチャレンジしてみて下さい。
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(2012.12) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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