※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
こちら からどうぞ。
|
|
その四拾八 : マンガにちょっと登場する動植物(3) 甲州野梅
古来より、日本人が花と呼べば、梅と桜です。
おおむね奈良時代までは梅を指し、平安時代は桜を指していました。奈良時代は日本文化も黎明期で、中国から渡来した梅が重宝されていたようです。
梅の盆栽もまた歴史が古く、江戸時代には多くの梅盆栽が作られていましたが、その中でも「甲州野梅」が有名でした。
この珍しい「甲州野梅」が、ぼくの大好きなマンガ山本鈴美香作の「エースをねらえ」に登場します。それもこのマンガのクライマックスのひとつで、
主人公の岡ひろみ(“北岡ひろみ”でないのが超残念!)がコーチである宗方仁を病で失くした時のエピソードのひとつとして出てきます。
その時に宗方 仁の後を継いだ桂 大悟コーチが話す名セリフが「梅は甲州野梅をもって最上となす」「その第一の理由は仁がくずれぬことにある」です。
何と泣けてくるセリフでしょう!
このマンガは、主人公の家が造園業だったり、オーストラリアのテニス選手が桜の苗に毎日水を与えたり、「夏の思い出」の歌詞が出てきたり、
ドラマチックなストーリーの中に庭造りや花作りに絡んだエピソードがたくさん出てくるのも特徴です。
「エースをねらえ」は一度読み始めたら全17巻までノンストップで読み続けること必至の名作です。
・・・カットをクリックすると “甲州野梅” 登場のシーンが現れます ・・・
|
(2012.07) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
|