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その六拾五 : 秋の七草 (その1) ナデシコ
「秋の七草」の起源は、今から1200年以上も前の奈良時代に逆上ることができます。
万葉集 巻8 山上臣憶良
秋野の花を詠む歌二首
1537 秋の野に 咲たる花を 指(および)折り
かき数ふれば 七種(くさ)の花
1538 萩の花 尾花 葛花 なでしこの花
をみなえし また 藤袴 朝顔が花
自然と人との関わりや、その中での自然を詠んだ歌が多い、憶良らしいほのぼのとした和歌です。
7種類の植物のうち、朝顔については「桔梗」とする説が有力です。
一方、藤袴は、現在ではほとんど河川敷でしか見られない非常に珍しい種類で、庭など身近な所で見るフジバカマは中国産の園芸種です。 他の6種類との生育頻度のバランスから推測すると、私は現在のヒヨドリバナも含んでいるのではないかと思っています。
憶良が選んだ7種類は、クズを少し横に置いておくと、いかにも初秋の風が吹く高原の雰囲気が出ています。二首を続けて声に出して詠んでみると、 何となく涼しい感じがします。
このうち、今一番注目を浴びているのが、ナデシコでしょう。
ワールドカップ、オリンピックと続けて大活躍した女子サッカー日本代表の愛称が、御存知「ナデシコ・ジャパン」です。
本家ナデシコは中山間地における草刈り場の減少や草原の森林化によって減少傾向にありますが、「ナデシコ・ジャパン」の活躍とともに
野生のカワラナデシコが復活することを期待しています。
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(2013.08) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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