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その七拾九 : 花巡り、礼文島・利尻島の思い出(3)
礼文島と利尻島、どちらも植物、特に本州では高山植物に属する植物が多く生育し、素晴らしい花の島として有名ですが、その本質は大きく異なります。
まず、礼文島は主にカンラン岩(超塩基性岩と呼ばれる特殊な岩石の一種)から成る台地状の平坦な島です。特殊な岩質と地形、そして平坦が故の強風により、森林の発達が悪く、チシマザサの草原と美しいお花畑が広がります。特に海岸側の崖地は、標高100mにも満たないのに、本州の2500m以上と変わらない高山植物のお花畑が見られます。
今回はミヤマオダマキの大群落が、特に印象的でした。
傾斜が50度もあるカンラン岩の岩垂斜面が、一面ミヤマオダマキの薄紫色とハクサンイチゲの白色に染まり、北岳の山頂付近と同じような景観が広がっていました。
しかし、下方を見ると、真っ青な海が広がり、ここが礼文島であることを思い出します。
周囲には、レブンコザクラやハクサンチドリの桃色、ハイマツやリシリビャクシンの緑色が混ざる一方、愛知県でもよく見るセンボンヤリや海岸植物のエゾオオバコ・エゾイヌナズナも混生し、実に摩訶不思議な植生です。これこそ礼文島ならではの植生です。
これから、レブンウスユキソウ・チシマフウロ・ヨツバシオガマなどが次々と咲いていき、6月10日頃にピークを迎えます。
まさに『花の島・礼文島』です。
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(2014.07) |
北岡明彦さんを紹介します
1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、
日本全国を飛び回る。 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、
一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。 |
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