散 歩 道




水中散歩 Ⅴ








by Kyoko
    珊瑚(さんご)

青く透明な海
キラキラと太陽の光が降りそそぎ
サンゴの群生に
カラフルな魚たちの群れ

ここは「竜宮城」か
はたまた「楽園」なのか


小学生の頃にテレビで見た
サンゴ礁の映像は
強烈なインパクトを与え
私をダイバーにさせた
枝のような形をしたサンゴ
テーブルのように広がるサンゴ

その形状から「植物」と誤解されがちだが
サンゴはれっきとした「動物」である
イソギンチャクやクラゲの仲間だ

サンゴの種類は
世界でおよそ450種もあるそうだ


1つ1つの「サンゴ」が石灰質の骨格を作り
この骨格が積み重なってできたものが「サンゴ礁」である
この骨格が、枝状やテーブル状になるなど
その種類や生息場所に適応して 様々な形を作っている
私たち人間は身体の中に骨格を持つが
サンゴは身体の外側に骨格を形成するのだ
岩を覆うように成長している
      キクメイシ(菊目石)サンゴ
      高さは2メートル近い

クサビライシ(草片石)サンゴ

サンゴは体内に 「褐虫藻」という
とても小さな藻類を共生させる
この褐虫藻が光合成を行い
その光合成物質を サンゴは糧とし
サンゴからの老廃物や
呼吸による二酸化炭素は
褐虫藻の光合成に再利用されるという
とても効率のよい
「共生」関係が出来ている

さらに 地球表面の70%が海で
このうちわずか1%が サンゴ礁の海だけれど
海の魚類の約25%が サンゴ礁の海に生息しているという

サンゴ礁は 多様な生き物の棲みかであり
食べ物であり 卵を産み 稚魚が育つ場所となっている
その稚魚や小さい魚を餌とする魚も集まってくる
サンゴ礁を起点にして多様な生物の営みが生まれている

ミズタマ(水玉)サンゴ と
(=Bubble coral)
共生する 
バブルコーラルシュリンプ
(赤髭隠れ海老)
そのサンゴ礁にいま危機が迫っている

1つは 海水温の上昇に伴い
 サンゴの体内から褐虫藻が排出されてしまう白化現象である
 サンゴは褐虫藻からのエネルギーを失い しばらくすると死滅してしまう
2つめは サンゴ礁そのものの破壊
 サンゴ礁域の人口増加による 排水の流入 魚の乱獲
 開発・建設・埋め立て



サンゴ礁が無くなると
それを食糧 生活
保育・産卵場所としていた生物は
その海域から姿を消してしまう
にもかかわらず
サンゴ礁の
20%が すでに破壊され
24%は 危機に瀕しており
26%は 長期的に危うい状況にあり
健全なものは わずか30%という
「世界のサンゴ礁の状況2004」より
現在では
さらに深刻な情況にあると推測される
目に見えるもの
身近なものは分かりやすく
問題として取り上げられることも多い

どうか目に見えないもの
身近にないものにも
思いを馳せてほしい

この地球は 絶妙なバランスで生態系を保っており
どれか1つを失っても そのバランスを失う
それはいつか 廻り廻って 人間にも影響を与えるだろう

「共生」
新たな年を迎え
この言葉の意味を思う






撮影場所 沖縄 慶良間 石垣
サイパン
タヒチ
タイ カオラック
参考サイト
 日本サンゴ礁学会ホームページ
 http://www.jcrs.jp/wp/
参考文献
「サンゴとサンゴ礁のはなし」本川達雄/中公新書
「フィールド図鑑/造礁サンゴ」西平守孝/東海大学出版会






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