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森のひとり言
■vol.1 〜 ■vol.100
森のひとり言・New
■vol.101
原点に帰って、人工林と天然林(1)
■vol.102
原点に帰って、人工林と天然林(2)
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原点に帰って、人工林と天然林(3)
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原点に帰って、人工林と天然林(4)
■vol.105
原点に帰って、人工林と天然林(5)
■vol.106
原点に帰って、人工林と天然林(6)
vol.107
日本の森林は素晴らしい
■vol.108
自然のしくみを楽しもう(1)
■vol.109
自然のしくみを楽しもう(2)
■vol.110
自然のしくみを楽しもう(3)
■vol.111
自然のしくみを楽しもう(4)
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自然のしくみを楽しもう(5)
■vol.113
自然のしくみを楽しもう(6)
■vol.114
新しい年に想う、森の大切さ、
楽しさ
※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
こちら からどうぞ。

 その壱百拾五 : 今、話題の植物学者 牧野富太郎先生に想う

 私の本棚に、ずらーと並ぶ自然に関する書物。植物・動物に関する図鑑類、各地の自然の紹介図書、それに推理小説など単行本。家がちょっと傾くほどの量があります。その中で、一番大切な本は?と聞かれたら、即座に答える本が、私の宝物でもある「牧野新日本植物圖鑑」(理学博士 牧野富太郎著:北隆館)です。昔から大牧野植物図鑑と呼ばれ、ポケット版の小牧野植物図鑑と区別されてきました。

 私はもともと昆虫少年でしたが、高校時代(明和高校生物部)に、昆虫を殺すことがいやになって植物に転向しました。生物部の植物班(私は昆虫班)には女の子が多いという若干不純な動機も加わり、授業後に生物室で「大牧野植物図鑑」を最初から最後まで目を通すというのが、日課となりました。2年生の夏休み頃から卒業まで、ほぼ毎日、大牧野を読み続けました。その結果、図鑑はボロボロになり、背表紙も裏表紙もはがれてしまい、ついには廃棄処分にされてしまいました。

 私は顧問の先生にお願いして、この本を戴き、今も私の本箱の奥に鎮座しています。植物が好きになった原点のひとつであり、私の大切な、大切な宝物です。


 それでは、僭越ながら、私が植物好きとなった心の師匠である、牧野富太郎先生を御紹介しましょう。

 牧野先生は1862年に高知県佐川町に生まれ、ほとんど独学で植物を研究され、1957年に94歳で永眠されるまで、日本の近代的植物学の基礎を作られた偉人です。

 ちょうど今、その牧野先生をモデルとしたNHK朝の連続ドラマの「らんまん」が放映されています。毎週のタイトルは牧野先生が発見した植物名が使われ、出演者紹介のバックにも、そうした植物が映されます。こんなことは、朝の連続ドラマ初のことです。
 ほぼ毎回、草花のアップが登場します。ササユリやジョウロウホトトギスも登場しました。本当に実物そっくりで、これを作られた方の素晴らしい技術に、毎回感激します。いったい、どの位の時間と経費をかけているのでしょう。うがって見ると、背景の森の状況(時期)とのバランス、風に揺れず自重で垂れ下がらない固さなどわかりますが・・・・。
 これからの進展が大いに楽しみです。

 私たちの自然観察でよく見る植物の多くの学名を、牧野先生が命名されています。
 学名は万国共通言語のラテン語で表されています。先生はほぼ独学でラテン語を学ばれました。

 中でも1889年(明治22年)27歳の時に、日本人が初めて学名を命名した植物として有名なのが、ヤマトグサ Theligonum japonica Makinoです。
 その他にも、数多くの植物に学名をつけられました。私の大好きなシコクスミレ Viola Shikokiana Makinoも牧野先生の命名です。

 一度、図鑑を見て、どの種類に学名をつけられたか調べてみてください。

 私の心の師匠、牧野富太郎先生に、心から敬意を表します。
 朝の連ドラの今後が、本当に楽しみです。





(2023.05)
















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