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森のひとり言
■vol.1 ~ ■vol.100
森のひとり言・New
■vol.101
原点に帰って、人工林と天然林(1)
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原点に帰って、人工林と天然林(2)
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原点に帰って、人工林と天然林(3)
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原点に帰って、人工林と天然林(4)
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原点に帰って、人工林と天然林(5)
※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
こちら からどうぞ。

 その壱百六 : 原点に帰って、人工林と天然林(6)

 天然林に関する最近の出来事で最も興味深いのは、スズタケの一斉開花です。
 ブナ林の林床一面にササ類が密生するのは日本特有の現象で、太平洋型ブナ林では主としてスズタケ(一部でミヤコザサ)が繁茂し、日本海型ブナ林では主としてチシマザサが繁茂します。内陸部ではチマキザサが優占する林分も見られます。

 このうち、スズタケが2016年(平成28年)から一斉開花を始め、今年はそのピークを迎えています。予想では3年程続くと思われます。愛知県内では、茶臼山(豊根村)、面ノ木峠(豊田市)、段戸裏谷(設楽町)、伊熊神社(豊田市)など全域のスズタケで一斉開花が観察できます。昨年も同地域で開花をし、実をつけたのを見つけてびっくりしましたが、今年の大開花は比較にならない程大規模です。

 花は5~6月にピークを迎え、7月中旬では、まだ胚乳が未熟で白い乳液状をしています。秋には完熟し、米に似た味と食感になります。この大量に実った種子を餌として、ノネズミ類が翌年以降大発生するというのが定説です。

 一方、開花したササ類の個体は枯死するといわれており、その動向が大いに注目されます。林床に密生するスズタケが一斉枯死すれば、太陽の光が地表に届くようになります。ひょっとしたら、林床で発芽した実生苗が生き残る可能性が高くなるかもしれません。

 幸い、今年はブナの成り年に当たりそうです。樹齢400年となり、寿命が尽きかけたブナ老木が多い太平洋側ブナ林にとって、更新するための朗報になる可能性があります。

 まだまだササ類の一生は分からないことだらけです。
 長野県木曽町にある城山のスズタケは開花していませんでした。草刈りをされて稈を強制的に更新されたスズタケの群落はそれ程開花していません。日本海型ブナ林のチシマザサも一斉開花はしていません。
 もし、各地でササ類の開花を観察されたら、ぜひ北岡に御一報下さい。


※ササ類の見分け方 比較はこちら







北岡明彦さんを紹介します
 1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、 日本全国を飛び回る。
 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、 一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
ページを開いた本のイラスト  『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。






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