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森のひとり言
■vol.1 ~ ■vol.100
森のひとり言・New
■vol.101
原点に帰って、人工林と天然林(1)
■vol.102
原点に帰って、人工林と天然林(2)
■vol.103
原点に帰って、人工林と天然林(3)
■vol.104
原点に帰って、人工林と天然林(4)
■vol.105
原点に帰って、人工林と天然林(5)
■vol.106
原点に帰って、人工林と天然林(6)

※このコーナーは、みなさんのご質問やご意見をもとに執筆されています。どんなことでも、お待ちしています。
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 その壱百七 : 日本の森林は素晴らしい(1)

 日本は緯度の幅が広いことから、亜熱帯から冷温帯まで、さまざまな自然を見ることができます。
 最も南(近く)に位置する西表島から、最も北(近く)に位置する礼文島まで、各々素晴らしい自然があります。

 森林の姿もさまざまです。
 西表島では、海岸近くにはオヒルギ・メヒルギなどのマングローブ類やサキシマスオウノキなどの森、山の中ではオキナワジイ・オキナワウラジロガシなどの森が広がり、亜熱帯性の常緑広葉樹林の多様性には目を見張るものがあります。
 尾張地方にあるツブラジイやアラカシの常緑広葉樹林の単純さとは全く異なります。私たちの身近にある常緑広葉樹林は、まさに常緑広葉樹林の「きれはし」に過ぎず、ほとんどの随伴種(南方系植物が多い)は分布していません。
 愛知県でも、豊川流域には黒潮の暖気が入り込むため、タイミンタチバナ・ルリミノキ・ミミズバイなどの南方系樹木が分布しています。花崗岩と変成岩という地質の違いも関連していると考えられます。

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 一方、利尻島では、海岸近くからエゾマツ・トドマツの冷温帯性の常緑針葉樹林が広がります。エゾマツはトウヒの仲間、トドマツはオオシラビソの仲間ですから、本州でいえば2000m以上の亜高山性針葉樹林に相当します。林床にはゴゼンタチバナ・マイヅルソウなどが群生し、海岸近くにいることを忘れてしまいます。
 愛知県では、設楽町天狗棚のマイヅルソウ、豊根村茶臼山のベニバナイチヤクソウなど、ほんの一部の「きれはし」を見ることができます。これらの植物は、昔地球がずっと寒かった頃の生き残りです。

 南と北の森を歩いていて気づくのは、私たちの身近にある里山の雑木林が全く見られないことです。そうです。コナラ・アベマキ・ヤマザクラ・コバノミツバツツジといった、ごく普通の里山の樹木たちが全くないのです。
 「所変われば、品変わる」と言いますが、森林の姿こそ「所変われば、森変わる」です。そう思って、日本中を旅してください。









北岡明彦さんを紹介します
 1954年2月、名古屋市熱田区に生まれる。わずかに残る自然の中で「昆虫少年」として育つ。昆虫から植物、野鳥へと得意分野を広げながら、 日本全国を飛び回る。
 名古屋大学農学部林学科卒。愛知県林務課を経て、現在豊田市森林課勤務。日本自然保護協会の自然観察指導員。フィールドでの活動を重視し、 一年中、 公私の観察会で活躍。動植物全般の博識と森林の専門家としての教唆には絶大な信頼がある。 その人柄にもひかれて 「北岡ワールド」に魅せられた人々は多い。
ページを開いた本のイラスト  『中部の山々1,2』(東海財団)『日本どんぐり大図鑑』(偕成社)など執筆、編集。「面の木倶楽部」 「瀬戸自然の会」を主宰。愛知県瀬戸市在住。






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